【オーディオの基本?】ロー出しハイ受けとインピーダンスマッチングについて解説

インピーダンスマッチングの記事であることを示す画像 技術

ギターやエフェクター、アンプ、オーディオインターフェース…。
こうした機器を使っていると、「インピーダンス」という言葉を目にすることがあります。
中には「Hi-Z(High Impedance)」という切り替えスイッチが付いていて、「インピーダンスを調整する必要がある」と説明されることも。

「ロー出し、ハイ受け」といった言い回しを聞いたことがある方もいるかもしれません。
では、なぜそもそも“インピーダンスを調整する必要がある”のでしょうか?

インピーダンスとは

本題に入る前にインピーダンスの意味を確認しておきます。

電気回路における「インピーダンス(Impedance)」は、交流に対する“電気の流れにくさを表す値のことです。
直流に対する抵抗(レジスタンス)と異なり、インピーダンスは周波数によって値が変化するのが特徴です。

詳細は下記の記事にて解説しているので、ご覧になってみてください。

入力インピーダンスと出力インピーダンス

インピーダンスには入力端子から見るか、出力端子から見るかによって入力インピーダンスと出力インピーダンスという2つの呼び方があります。。

  • 入力インピーダンス → 入力端子から見たときのインピーダンス
  • 出力インピーダンス → 出力端子から見たインピーダンス

例えばエフェクターの場合はこのようになります。

このように、同じ機器でも「どちらの端子から見るか」によって言葉が変わってきます。
ギターの場合は入力端子が無いので、入力インピーダンスはありません。
ギターの出力ジャックから見たインピーダンスが出力インピーダンスとなります。

ロー出しハイ受けとインピーダンスマッチング

接続機器のインピーダンスを意識する理由

ギター、エフェクター、アンプ、オーディオインターフェースなど、複数の機器を接続する際、
送り出す側(出力)と受け取る側(入力)のインピーダンスの関係によって、信号の伝わり方は大きく変わります。

具体的には、インピーダンスの組み合わせによって:

  • 信号の電圧が減衰して音が小さくなったり
  • 高音が失われて音がこもったり
  • ノイズが入りやすくなったり

という音質の劣化が起きるのです。

ロー出しハイ受け

ギターなどのオーディオ信号は主に電圧で伝送されます。
電圧の信号を劣化なく伝えるためには、出力インピーダンスを低く、入力インピーダンスを高くするのが基本となります。
これをロー出しハイ受けと呼んだりします。

例えばギターからエフェクターへの信号の伝送を考えてみましょう。

ギターの信号のエフェクターへの伝送を考えるので、Rgはギターの出力インピーダンス、Reはエフェクターの入力インピーダンスとなります。

単純なRgとReの抵抗分圧なので、エフェクターに伝わる電圧はこの場合、下記となります。

この式を見てもわかるように、ギターの出力インピーダンス(Rg)が小さければ小さいほど、Reが大きければ大きいほどロスなく電圧が伝えられます。

インピーダンスマッチング

「インピーダンスマッチング」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
これは、信号を出力する機器の出力インピーダンスと、入力する機器の入力インピーダンスを同じにする(マッチさせる)ことで、最も効率よく信号を伝えるという考え方です。

この考え方は、電力伝送を重視する回路で使われるもので、
例えば無線通信回路やアンテナ、マイクロ波回路などでは、出力と入力のインピーダンスを等しくすることで、最大の電力を接続先に伝えることができます。

一方で、ギターやエフェクター、アンプなどのオーディオ機器においては、インピーダンスマッチングを厳密に行う必要はほとんどありません。
なぜなら、これらの機器では「電力を届ける」のではなく、「音という信号の波形(電圧)をできるだけ忠実に伝える」ことが目的だからです。

この場合に重視されるのは、電圧伝送です。
つまり、電圧の形がそのまま次の機器に伝わることが重要であり、
それを実現するためには、出力インピーダンスをできるだけ低く、入力インピーダンスを高くする(ロー出し・ハイ受け)のが理想的な構成となります。

バッファの役割

バッファの必要性については、以下の記事で詳しく解説しましたが、
改めて簡単に整理すると、バッファとはハイインピーダンス信号をローインピーダンスに変換する回路です。

ギターの出力は、理想とされる「ロー出し・ハイ受け」とは逆で、出力インピーダンスが非常に高いという特徴があります。
この高インピーダンスのまま信号を後段へと伝え続けると、
高域の減衰やノイズ混入など、信号の劣化が大きくなってしまいます。

そこで、ギターの直後にバッファ(またはバッファ機能を持つエフェクター)を配置することで、出力インピーダンスを下げ、信号を安定して伝えることができます。
これにより、音質の劣化を防ぎ、長いシールドケーブルや複数エフェクターを使う場合でも安定した音を保つことができるのです。

おまけ:ファズではバッファが不要?

バッファは非常に便利な存在ですが、すべてのエフェクターで必ずしも「入れた方が良い」とは限らないことも覚えておくべきです。
その代表的な例が「ファズ」です。

ファズ(例:Fuzz Faceなど)は、非常に低い入力インピーダンス(数10kΩ)に設定されており、
ギターのピックアップと直結されることを前提に設計されている場合があり、ギター直後に接続するかどうかで音が大きく変わる場合があります。

バッファを間に挟むことで、ファズが期待している信号特性が変化してしまい、歪み方やトーンに影響が出ることがあります。

そのため、自分の使っているファズがどういう設計思想かを確認し、
必要に応じて「バッファの位置」を調整することが大切です。

まとめ

インピーダンス、そして「ロー出し・ハイ受け」の考え方について、理解は深まりましたでしょうか?

これらは音の安定性やクオリティに直結する非常に実践的な知識です。

Empressの「Buffer+」やOne Controlの「RASPBERRY BOOSTER」など、
出力インピーダンスを調整できるバッファ/ブースター系エフェクターもありますね。

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原理を理解していれば、こうしたエフェクターも“なんとなく”ではなく、狙いを持って使いこなすことができるはずです。

この記事を書いた人
藤原 健司

電子楽器の製作、エフェクターの修理、ペダルボードの構築などを行っています。
大手音響機器メーカー勤務を経て独立。
現在はITエンジニアとして、システム開発の事業も手がけています。

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