「ピックアップを交換したい」「シールドを自作してみたい」「エフェクターを作ってみたい」
電子楽器をいじっていると、どうしても避けて通れないのがはんだ付けという作業です。
とはいえ…
- 「なんだか難しそう」
- 「失敗して機材を壊したらどうしよう」
- 「道具を揃えるのにお金がかかりそう」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
最初は誰でも不安ですが、基本をしっかり押さえれば決して難しい作業ではありません。
この記事では、はんだ付けの基本知識から必要な道具、実際の作業手順までを初心者向けにやさしく解説していきます。
はんだ付けを始めよう
メンテナンスの幅が広がる
エレキギターは電気楽器です。そのため、どうしても電気的なトラブルや部品の交換が必要になる場面が出てきます。
たとえば…
- ピックアップ交換で音を変えたい
- ポットやスイッチがガリガリ言うようになった
- ジャックの接触が悪くなった
- シールドケーブルを自作したい
こんなとき、はんだ付けができれば自分で修理・改造ができるようになります。
楽器店に依頼するとお金もかかりますし、作業完了まで日数がかかることもあります。練習やライブを控えていると、これはかなりのストレスになります。
「難しそう」という思い込みを捨てよう
「はんだ付けは難しい」と思われがちですが、基本的な作業は意外とシンプル です。
最初は慣れが必要ですが、正しい道具と手順を覚えれば誰でも上達します。
ただし、以下のような失敗を避けることが重要です。
- 初心者だからといって粗悪な道具を使う
- 間違った方法で作業する
このようなやり方では失敗しやすく、むしろハードルが上がってしまいます。
最初こそ、きちんとした道具と基本の手順が大切 です。
はんだ付けの基本知識

はんだ付けとは何か?
はんだ付けとは、「はんだを溶かして金属部品をくっつける作業」…ですが、実際はそれ以上に重要な意味があります。
はんだは“接着剤”ではなく、金属と金属を“合金化”させるための材料です。
つまり、はんだが溶けて母材(部品や配線)と結合し、合金層を形成することではじめて、電気的にも機械的にも信頼性のある接続が実現します
そのため、
- ただ表面にはんだが乗っているだけでは不十分
- たくさん盛ればいいというものでもない
大切なのは、適切な温度と手順でしっかり合金化させることです。
はんだ付けで重要なポイント
温度と時間
はんだ付けで失敗する原因の多くは、「温度設定のミス」や「加熱時間の不足または過剰」によるものです。
はんだの融点は種類によって異なりますが、
- 鉛フリーはんだ:約220℃
- 鉛入りはんだ:約183℃
しかし、融点ギリギリの温度ではうまく溶けず、母材への熱も十分に伝わりません。
そのため、はんだ自体には約250℃の温度が必要とされています。
とはいえ、はんだごてからの熱はそのまま100%伝わるわけではありません。
部品や基板が熱を吸収してしまうため、実際のコテ先温度はそれより高めの 350℃前後 に設定するのが一般的です。
そして重要なのが「はんだが溶け始めてからの時間」です。
目安は約3秒。加熱時間が短すぎると合金層が形成されず、長すぎると酸化してはんだ不良の原因になります。
「短時間で、必要なだけの熱をしっかり伝える」これがはんだ付けの基本です。
予備はんだをしておこう
作業をスムーズに、きれいに仕上げるには予備はんだ(あらかじめ部品や基板に軽くはんだをつけておく)がとても効果的です。
小型部品を基板に付けるような場合には不要な場合も多いですが、シールドなどの線材やポッドなどの大きな部品にはんだ付けする場合は予備はんだをしましょう。
- 熱が伝わりやすくなる
- 合金化しやすくなる
- はんだが広がりやすくなる
少しの手間ですが、仕上がりに大きく差が出るので、ぜひ実践してみてください。
必要な道具

道具選びは、はんだ付けの成功を大きく左右します。
技術以前に、適切な道具を使っていないと失敗の原因になります。
適切な道具を揃えておくことで、作業効率も上がり、上達も早くなります。
はんだごて
前述の通り、はんだ付けにおいて温度の安定性は非常に重要です。
そのため、温度調整機能付きのはんだごてを使用することを強くおすすめします。
安価な固定温度タイプは熱量が不安定で、仕上がりにムラが出たり、うまく溶けないこともあります。
はんだ
はんだもたくさんラインナップがあってどれを選べば良いか迷いますよね。
まずは下記のものを選ぶのをお勧めします。
- 鉛入りのもの
- Φ1.0mm前後の太さのもの
鉛フリーはんだは環境には優しいものの、融点が高く扱いも難しいため初心者には不向きです。
また、細すぎるはんだはシールドケーブルの自作など大きな部品には不向きで、太すぎると細かい電子部品には不向きです。
汎用性の高いΦ1.0mm程度が最初の1本に最適です。
こて台&こて先クリーナー
はんだごては非常に高温になるため、専用のこて台に置く必要があります。机の上に直接置くのは絶対にNGです。
また、はんだ付け中はこて先に汚れ付着して汚れてきます。
これを放置すると熱がうまく伝わらず、はんだ不良の原因になります。作業中はこまめに先端を掃除するようにしましょう。
こて先クリーナーとしては下記のタイプがあります。
- スポンジタイプ:水で湿らせて使う。こて台にセットで付属されていることが多い。
- ワイヤータイプ:水が不要でこて先の温度が下がりにくく、おすすめ。
ワイヤータイプはこて先がはんだでうっすらコーティングされた状態になり作業がしやすいのもお勧めポイントです。
吸い取り線
はんだ吸い取り線は、失敗したときに不要なはんだを除去するために使います。
慣れないうちは使いこなすのが難しいですが、用意しておくと安心です。
その他工具類
はんだ付けそのものに直接関係しない道具でも、作業をスムーズに進めるために欠かせない工具があります。
たとえば、以下のようなものは揃えておくと便利です。
- ニッパー:線材やリード線をカットするために使用します。
- ラジオペンチ:部品の足を曲げたり、位置を整えたりするときに便利です。
- ピンセット:細かい部品の配置や保持に重宝します。
- ワイヤーストリッパー:被覆付きの配線を使う場合、絶縁皮膜を剥くのに便利です。
最初から全部揃える必要はありませんが、少しずつ揃えていくのがおすすめです。
実際にはんだ付けをやってみよう

小型部品のはんだ付け

入門として、小型の抵抗器をはんだ付けしてみます。
小型の部品は熱が伝わりやすく難易度も低いです。
準備
1. はんだごての温度設定を確認する
温度調整可能であれば、はんだごての温度を350℃付近になるように設定しましょう。
写真では370℃に設定しています。

2. はんだごてに電源を入れる
はんだごてに電源を入れましょう。
多くのはんだごてでは電源プラグを刺すとすぐに電源が入るので注意しましょう。
電源を入れたらこて台に置くように注意してください。
こて先が熱くなっているため、火事や火傷にはくれぐれも注意してください。
3. 少し待ってコテが温まったか確認する
はんだをこて先に当てて、十分温度が上がっているか確認します。
はんだが溶けたらOKです。

はんだ付け
1. 部品の位置決めをする
付けたい部品を付けたい場所にセットします。
今回の場合は抵抗器の足を曲げて基板に足を通します。

この際仮止め用のテープを使用して基板から外れないように固定すると良いです。

裏側にひっくり返し、足を軽く曲げて基板から外れないようにするのも良いかと思います。

2. 部品の足を温める
はんだ付けする部分(部品の足)にはんだごてを当てて、はんだが溶ける温度になるように温めます。
部品が十分温まっていないままはんだ付けをしてしまうと、半田不良の原因になります。
今回は部品が小さいので1〜2秒程度軽く当てるでも十分温まると思いますが、大きい部品など温まりにくい部品の場合はしっかり当てた方が良いです。

3. はんだを流し込む
はんだ付けしたい部分にはんだを当てて流し込みます。
富士山型の山ができるくらいを目安に、流し込みすぎないように注意しましょう。

4. はんだを流し込むのをやめ、こてを当てたまま少し待つ
必要量のはんだを流し込んだら、はんだを離して流し込むのをやめます。
この時はんだごてはそのままキープし、2〜3秒待ちます。
5. はんだごてを離す
はんだごてを離します。
当てすぎると劣化しますので、当てすぎないように注意してください。
まとめ
はんだ付けは、電子工作や楽器メンテナンスに欠かせない基本技術です。
下記ポイントを押さえて練習してみてください。
- はんだは「接着剤」ではなく「金属を合金化する材料」
- 温度は350℃前後、加熱時間ははんだが溶けてから約3秒
- 適切な道具を揃える
ぜひこの記事を参考に、最初の一歩を踏み出してみてください。
少しずつ経験を積めば、きっとはんだ付けが楽しくなってきますよ!




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