【応用編】ステレオケーブルを使用したシールドの自作方法|BELDEN 8412

実験

ステレオ(2芯)ケーブルは本来マイクやライン用途向けですが、モノラル用のギター/ベース・シールドとして自作に活用することもできます。
例えば BELDEN 8412 はステレオ用として設計されていますが、ギター用シールドとしても非常に人気があります。
しかしステレオだと信号線が2本あるため、使わない信号線をどう処理するかなど迷いやすいポイントがいくつかあります。

本記事では BELDEN 8412 を例に、ステレオ(2芯)ケーブルをモノラルのシールドとして使う際の配線方法と製作手順を解説します。
ステレオケーブル(BELDEN 8412)特有の配線ポイントと作業手順に絞って解説しますので、基本事項は下記記事をご参照ください。

用意するもの

シールドケーブル以外は「【実践入門】シールドケーブル自作の方法を解説」と同じですので、詳細はそちらをご覧ください。

シールドケーブル

今回は BELDEN 8412 を使用します。
近年は価格が上がっていますが、入手はサウンドハウスなどが比較的手頃でおすすめです。
製作したい長さに合わせて必要な分購入してください。

製作してみよう

ここからは【実践入門】シールドケーブル自作の方法を解説 にて使用したMOGAMI 2524にはなかったステレオケーブル(BELDEN 8412)特有のポイントに絞って解説していきます。

BELDEN 8412のようなステレオケーブルでは、内部に信号線が2本あります(黒線と白線)。
断面を見ると、2本の芯線がシールド線に包まれているのがわかります。


作業手順はモノラルケーブルとほぼ同じですが、使わない方の信号線をどう扱うかが迷うポイントかと思います。

外側の被膜を剥く

外側の被膜を剥いていきます。
シールド線の外側に紙が出てきますが、これはちぎって構いません。

シールド線をまとめる

BELDEN 8412はMOGAMI 2524に比べてシールド線がしっかり編み込まれているため、手でほどくのは難しいです。

自分は今回ピンセットを使用してほどきましたが、細いドライバーなどで編み込みを解くように作業すると良いでしょう。

ほどき終わったらこんな感じです。

編み込みを解いたら、布テープや糸が現れます。
こちらはハサミなどで根本から切ってください。

最後に、シールド線を手でねじって1本にまとめます。

MOGAMI 2524 にある「導電ビニール」は 8412 にはありません。
導電ビニール除去の工程は不要です。

2本の信号線をどう扱うか

ステレオケーブルをモノラル用途で使う場合、最も迷うのが「2本の信号線をどう扱うか」です。

処理方法としては主に次の3つがあります。

  1. 片方をシールド線に落としてまとめる
  2. 片方はカットして使用しない
  3. 2本の信号線をまとめて1本の信号線として使う

片方をシールド線に落としてまとめる

未使用の芯線をグラウンド(シールド)に落とす方法です。

詳細は後述しますが、静電容量が増加して高域が控えめになるかと思います。
意図的に高域を落としたい場合は無しではないのかなーという感じです。

白い方の線を信号線として使用する場合、黒い方の線をグラウンド線とまとめてはんだ付けしてしまいます。

片方はカットして使用しない

未使用の信号線を電気的に浮かせてどこにも接続しないようにします。

白い方の線を信号線として使用する場合、黒い方の線は根本からカットしてどこにも接続されないようにします。
ショートするのが心配な場合、念のため熱収縮チューブで根元から覆うことでショート対策をするのも良いかと思います。

2本の信号線をまとめて1本の信号線として使う

2本の信号線をまとめることで直流抵抗を下げることができます。信号の通り口が広くなるイメージですね。
また片方の信号線が断線してももう1つの線が生き残るので、冗長性を持たせることができる配線になります。

ただしシールド線にまとめる場合と同様、静電容量が増えて高域が落ちやすくなってしまいます。

BELDEN 8412の場合、「片方カット」がおすすめ

どれを選んでも問題ないとは思うのですが、BELDEN 8412の場合はカットしてしまう方が音質が良いという話を聞きます。

これについてもう少し考察します。

シールドの静電容量について

信号線やシールド線は金属なので電荷を蓄える性質があり、コンデンサのように静電容量を持ちます
静電容量が増えると、信号に対してローパスフィルターのように働き、高域成分を減衰させます

コンデンサについて詳しく知りたい方は下記記事も参照してください。

使わない信号線を他の配線とまとめると、導体面積が増えて静電容量が大きくなり、その結果、高域がよりカットされやすくなります。
(この静電容量の違いがシールドの線材の違いによる音質の違いの一因にもなります)

BELDEN 8412はもともと静電容量が大きく、やや高域が落ちる特性を持っているそうです。
そのため、片方の信号線をシールド線とまとめてしまうと、高域の減衰が過剰になりやすいのかと思います。

推測も含んではいますが、以上の理由により片方の信号線はカットして良いかと思います。

これ以降はモノラルケーブルと同じ手順で作業できます。
下記記事を参考に進めていただければと思います。

まとめ

今回は BELDEN 8412 を例に、ステレオ(2芯)ケーブルを用いたギター/ベース用シールドの自作手順を解説しました。
細かい手順は割愛しているので、下記記事も参考にしてみてください。


モノラル配線では2本ある信号線の扱いが迷いどころですが、8412では「未使用の1本はカットして絶縁」する方法がおすすめです。

あわせて静電容量の考え方を押さえておけば、狙いに応じて未使用線をシールドに落とす・2本を束ねるといった選択も意図を持って行えます。

この記事を書いた人
藤原 健司

電子楽器の製作、エフェクターの修理、ペダルボードの構築などを行っています。
大手音響機器メーカー勤務を経て独立。
現在はITエンジニアとして、システム開発の事業も手がけています。

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