ギターやベースの音作りに欠かせない「シールド」。
市販品を買うのも手軽ですが、自分で作れば長さや音質を好みに合わせられるうえ、同等品質でも費用を安く抑えることができます。
「もっと短いケーブルが欲しい」「高域がもう少し出てほしい」「落ち着いたサウンドが欲しい」
そんなこだわりも、自作なら思い通り。
この記事では、初めての方でも安心して挑戦できるように、必要な道具・ケーブル構造の基礎知識・実際の製作手順・ハンダ付けのコツまで、順を追って解説します。
用意するもの
シールドケーブル
使用したいシールドケーブルを用意します。
オンラインであれば サウンドハウス や オヤイデ電気 の通販サイトから購入可能です。東京近郊にお住まいの方なら、秋葉原の 千石電商 などの店頭でも手に入ります。
ギターやベースなどの楽器用には、基本的にモノラル用シールドケーブルを使用しますが、ステレオ用ケーブルを使って製作することも可能です。
例えば BELDEN 8412 はステレオ用として設計されていますが、ギター用シールドとしても非常に人気があります。
今回の例では、モノラル仕様の MOGAMI 2524 を使って製作してみます。
ちなみにステレオプラグを使用した製作に関しては下記記事にて記載しているので、BELDEN 8412などのステレオケーブルを使用したい方はそちらも併せて参考にしてみてください。
プラグ(モノラル)
1本のシールドケーブルを作る場合、モノラルフォンプラグを2つ用意します。
今回の製作例では、 SWITCHCRAFT 280 を使用します。
ギターやベース用のシールドであれば、必ずモノラルプラグを選びましょう。
ステレオプラグは外見が似ていますが、配線構造が異なるためギター用シールドには適していません。
工具・消耗品
はんだ付けに必要な工具・消耗品
はんだ付けに必要な工具・消耗品は下記を参考にしてください。
ニッパー
ケーブルをカットしたり被覆を剥いたりするのに使用します。
ケーブルカッターという専用の工具の方もありそちらの方が使い勝手は良いかと思いますが、とりあえずはニッパーで大丈夫です。
ワイヤーストリッパー(できれば)
被膜を剥く際にあると便利です。
今回はワイヤーストリッパーは使用せず、ニッパーを使用して被膜を剥いています。
テスターやケーブルチェッカー(できれば)
その他完成したケーブルのチェックにはテスターやケーブルチェッカーを使用すると良いです。
特にテスターは自作する際には何かと便利なので、持っていない方は1つ持っておくと良いかと思います。
実際にギターと接続して音が出るかを見れば確認は可能ですので、無くても作業は可能です。
製作してみよう
それでは実際に製作していきましょう。
まずはモノラルケーブルを使用して製作してみます。
- シールドケーブル:MOGAMI 2524
- モノラルプラグ:SWITCHCRAFT 280
ケーブルをカットする
必要な長さでケーブルをカットします。
ケーブルカッターという専用の工具もありますが、ニッパーでも大丈夫です。
今回は3mのケーブルを作成します。
購入時点で3mのものを選んでいるため、カット作業は不要です。
プラグを準備する
プラグを分解すると、下の写真のようになります。

非常にシンプルな構造で、SWITCHCRAFT 280 は本体とハウジングの2パーツのみです。
NEUTRIK製のプラグなどは部品点数が多い場合もありますが、今回はシンプルな構造のため作業しやすいです。
はんだ付けするのは、本体側の端子部分です。

モノラルプラグの端子は2つ(TS)で構成されています。
- Tip:信号線を接続する端子
- Sleeve:グラウンド線を接続する端子
あらかじめハウジングを通しておく
はんだ付け前に、必ずハウジングをケーブルに通しておきましょう。
この工程を忘れると、はんだ付け後に通せなくなり、再度やり直す羽目になります。

ケーブルの被膜を剥く
長さをチェック
まず、どのくらいの長さを剥くか確認します。
下の写真の緑で囲っている部分は後でケーブルを挟むようにして固定するので、その手前くらいまで剥くようにします。

先端がTipの接続用の穴に到達する程度の長さになるようにします。
下の写真の赤線くらいまでのイメージです。

外側の被膜を剥く
外側の被膜を剥いていきます。
ニッパーをカットしたい位置に軽く当てて、少しずつ回しながら握ります。

力を入れすぎるとシールド線を切ってしまうので、少しずつ力を加えながら注意して切りましょう。
シールド線を切ってしまった場合はカットしてもう一度やり直してもOKです。
切れ目ができたら手で引っ張って外します。
カットが浅い箇所を爪やニッパーでカットしながら引っ張って外します。
カッターナイフがあれば局所的に切り込みを入れられて便利です。

剥き終えると、銅色のシールド線が露出します。

シールド線をまとめる
外側のシールド線がバラけないよう、指でねじりながら1本にまとめます。

MOGAMI 2524は手で簡単にまとめられますが、後述のBELDENのケーブルなどものによっては小さなドライバーやピンセットを使わないと難しい場合もあります。
導電性ビニールをカットする
信号線の周囲は2層構造になっています。
- 外側:黒色の導電性ビニール
- 静電気を逃がしてノイズを減らす役割がありますが、信号線に触れるとショート状態になるため、はんだ付け前に必ず取り除きます。
- 内側:透明の絶縁体
- 信号線を電気的に絶縁する重要な層になります。
先ほどと同じ要領でニッパーを根本から当てます。
カッターナイフでもOKです。

先ほどと同様中の絶縁体を切らないように力を入れすぎないよう注意しながら切れ目を入れていきます。
切れ目を入れたら手で引っ張っていきます。
透明のものが絶縁体なのでこちらが外れないように気をつけてください。

全部外すとこんな感じ

絶縁体の被膜を剥く
最後に透明の被膜を剥いていきます。
ニッパーでも可能ですが、ワイヤーストリッパーを使うと信号線を傷つけず安全です。


予備はんだをする
芯線とシールド線の先端に、あらかじめ薄くはんだを乗せておきます。
これにより、後のはんだ付け作業がスムーズになります。


プラグ側の端子にも、軽くはんだを乗せておきましょう。

はんだ付けをする
プラグを固定する方法はいくつかあります。
自分は手持ちのワイヤーストリッパーのバネのところに挟んでプラグを固定しました(普通の使い方じゃないです…)。
クリップや不要なエフェクターに刺して固定するのも良いかと思います。

まず、信号線からはんだ付けします。
基本的にはプラグの穴に通した上ではんだ付けします。
はんだ付けがちゃんとできていれば、無理して通さなくても良いかなとは思っています。

次に、シールド線をはんだ付けします。
長すぎる場合はこのタイミングでニッパーでカットしてください。

最終的には下の写真のようになります。

※ シールド線に関しては予備はんだをもう少し根元までした上ではんだ付けしておけばよかったかなと思います。
ハウジングを締める
ペンチなどを使用して羽の部分でケーブルをしっかり挟みます。
そしてハウジングを締めます。
最終的にこんな感じです。

まとめ
シールドケーブルの自作方法はご理解いただけたでしょうか。
一度作れるようになれば、新しく製作するのはもちろん、故障したケーブルの修理も可能になります。
音が出なくなったり調子が悪くなるたびに買い替えていると、意外と大きな出費になります。自作や修理ができれば、その負担を大きく減らせます。
さらに、自分の好みのケーブルとプラグを組み合わせて製作できるため、音質や使い勝手を自由に調整できます。
ぜひ、この機会に挑戦してみてください。
また、せっかく作ったシールドを長く使うためには「壊れにくくする工夫」も大切です。
下記は日頃からお世話になっているIdeal Guitarsさんの記事ですが、ポイントがまとまっているのでチェックしてみてください。







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